A112 ABARTH ENGINE TUNING


LA BOMBA CNA CORSA

ヘッドのオーバーホール。バルブは傘の部分を肉削し重量合わせしてあります。A112のバルブは小さいので4バルブ用のタコ棒で摺り合せ。バルブにコンパウンドを付けバルブシートにタコ棒を回転させながら打ちつけ当たりを取ります。綺麗にフィットするとポコンポコンからパチンパチンという音に変わる。
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ヘッドはノーマルのまま使用する。吸気ポートと排気ポートの砂落としとマニホールド径に合わせたポート研磨を施す。面研は1mm以下に留める。ピストンはピーニングして強化・重量あわせ。コンロッドは軽く磨いてバランス取りとオイルホール拡大。クランクはコンパウンドでラッピングする。カムシャフトもジャーナル・カム山共ラッピングする。ロッカーアームにはオイルが廻りにくいのでオイルホールの拡大・方向付けを施す。ロッカーシャフトは廃番なので磨いて段付き修正。
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鋳鉄クランクケースは頑丈そのもの。ピストンリング折れによる傷・異物が入ったらしくピストン・ライナーとも傷多し。段付きは想定内だがホーニングだけにする。ピストンはSTDサイズの67.2mmにこだわる。ABARTHは鍛造ピストン標準装備ですから。FIAT600系のエンジンは3メタル(普通4気筒は5メタル)である。だからフリクションが少なくよく回るのだがメタルやクランクには過酷な条件。レースに限らずオイル管理でエンジンは変わる。油温・油圧・油膜の厚さが肝。油を隅々までしっかり送り込むために普段から5000RPM以上回しましょう。
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メタルはフェラーリなどにも純正採用されるVANDERBELL(STDサイズ)を使用。ノーマルメタルとは比べ物にならない滑らかさ。慣性で回り続けそうなフローティングの良さといったら大げさだろうか。クリアランスの大きさは構造上仕方ないので油膜の厚い20W-50のオイルで頑張ってもらう。もちろんそのためには油圧の確保が肝心。オイルポンプはシム増しでノーマル4kg/cmから8kg/cmに調整。
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EXマニホールドは最初ノーマルのまま使用した。
筑波を走るためにノーマル【4→2→1】を改良して【4→2⇒⇒1】のようにフランジ→2の途中までは純正の『ABARTH 4M・L』の刻印入りを使用し、2の集合部分を効率良く作り替え2から1を拡大・延長した。Φ38mm→Φ40mm→Φ45mm→メインマフラーΦ48mmと排気拡大していく。
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フライホイールは旋盤で繰り抜いてノーマル比1/3の軽量化・静バランス取り。3000RPM以下ではトルクが無いが高回転域でのレスポンスは良い。
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キャブレターのオーバーホール。
純正WEBER 32DMTRを使う。あくまでもノーマルエンジンにこだわっています。エアクリーナーボックスも純正ABARTHでいきます。シェークダウンと慣らしが終わったらジェット類・ニードルバルブ・進角カムなど調整します。
後にカールファンネルを製作するが、どうしてもハイトが足りない。ボンネットとのクリアランスがないからだ。ならばボンネットをモッコリさせよう! 
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強化エンジンマウント。
黒い輪っかがノーマルゴムマウント。その中にΦ○mm(現物合わせ)・t=11mmアルミ削出しをはめ込む。横にある光る円盤はフタである。130.000q使ったエンジンマウントだけどまだまだ働いてもらいます。この他にエンジン下部にある通称『メガネ』のエンジンマウントはウレタンブッシュ打ち替えた。これでエンジンの前後揺れがかなり軽減されアクセルレスポンスが向上し挙動コントロールがしやすくなる。
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エンジンが載りました。
補機類が無いとはいえこうして見ると非常にコンパクトなエンジンですね。アバルトの信念にあったように『軽量コンパクトなボディーと強力なエンジン』が伺えます。
エンジンマウント前の「字型のフレームには当て板補強してあります。ココにクラック入ったクルマ結構あります。
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重量バランス。少しでもミッドシップします。
もちろんヒーターレス。空いた場所にいろいろマウントしていきます。運転席側にあった重いバッテリー(14kg)は軽量ドライバッテリー(4.5kg)に交換し助手席側に移動。元バッテリー位置にはホーン。イグニッションコイルも中心に。ガムテープが引っ掛けてあるのはワイパー! ワンアームワイパーに改良しモーターの真ん中に移動。ちなみにブレーキマスターシリンダーはKP61用。ノーマルは高いのでいろいろ流用した(HA22アルト・EFシビックなど)
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オイルクーラーはたまたまあったランタボ用。容量は純正の2倍〜ありそう。汚いがまだ使える。タダでゲットし地道にマイナスドライバーで目立てし灯油でクリーニング。ステンメッシュホースにEARL'Sフィッティングでカッコイイ。
でも実際には少し役不足でした。真夏は油温130℃以上、すぐに熱ダレしてしまう。純正の3倍くらいのカロリーアップが望まれる。
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そのオイルクーラーは純正の位置にセットされます。しかしせっかく大きくしても風が当たりません。なのでフロントパネルをカットしてパンチングネット貼りました。しかし実際にはオイルクーラーに当たった空気が排出される場所がなく熱が補機類やラムエアーにイタズラします。レースシーズンを終えラジエター前に居を構えボンネットに穴を開けることにしました。
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ミッションはノーマル。不具合も無いので洗っただけ。130.000qの素クラッチもまったく減ってないのですがレース車両ですので普通の強化タイプをいれました。何もしてないので語るものがない・・・。
ホントはファイナル変更したり、2速と3速クロスしたいし・・・ぶつぶつ・・・あ〜 ドグミッションもあるなぁ。どのサーキットでも2速と3速のジレンマに襲われる。『今回だけ頼む』と思いながら毎回ついつい熱くなって2速多用してしまう(反省)
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全体図。
エンジンちっちゃい。こうして見るとエンジンとボディーの関係が良く分かります。F:R=50%:50%からは程遠い。限りなく2:1に近い重量バランスなのにどうしてこんなにも面白いのか? リアは簡単にブレークするがコントローラブルなのがA112の特長。公道で充分にFUN TO DRIVEです。
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エンジン トラクション ロッド。
青い三角形がその一部。エンジンの前後の振れを止めるもので名前の通りトラクションを稼ぐもの。ワンオフ製作でボディー側にマウントを溶接、ミッション側はミッションボルトと共締めし、ウレタンブッシュを入れたトラクションロッドでつなぐ。
固めすぎたのかワンレースごとにオルタネータかスターターモーターを壊す羽目に。
Sr.1〜2まではココに似たようなロッドが付いていたが、ミッション側のエンジンマウントはなかった。
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上から見るとよく分かる。エンジントラクションロッドの真下あたりに『メガネ』マウントがある。この2つでエンジンの前後振れはほぼ無くなる。左右には強化エンジンマウントがあり適度にエンジンの振動を受け止める。競技用エンジンマウントはリジットマウントと言ってブッシュを用いず溶接(ボルト)留めしてしまうこともあるが、あまり固めすぎるとエンジンの振動やダイナミックバランスが崩れ高回転が伸びなくなるリスクもある。なにより振動が凄くアイドリングでも耳クソでそうなほど。お尻の穴もしびれちゃう。
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ストラットタワーバーもワンオフ製作。
ストラット横壁側にマウント部を溶接した。ストラットアッパーにネジ留めしないので、またボディーに直接入力するようにしたので強固です。取り外しもネジ2本と簡単。
スロットルリンケージに注目。余分な肉を落とし軽め穴を開けるだけでかなりレーシーになります。強度には問題ありません。誰でも出来るお手軽チューンです。
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反対側から見てみました。ラヂエターリザーバータンクの色が古さを感じさせます。プラグコードは定番の永井電子ULTRA。のちに中古のNOROGY(LANCIA DELTA用)を手に入れました。火花が違う。プラグはNGK RACING R7232-9を使用。
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偶然あったサイレンサー。
何用かはわからないが400ccクラスの単車のモノらしい。オールアルミで軽い。念のため一度ばらしてみた。グラスウールを少し足しておいた。
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後ろから覗いてみました。
出口Φ60mm。メインパイプOD50mmに合わせてサイレンサー取り付け部をテーパー加工。黄色いショックアブソーバーはノーマル改カヤバ(クライムギア)。板バネはノーマル3枚重ね。Aアームにはウレタンブッシュ入り。
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下から覗くの図。
排気効率をよくするためできるだけまっすぐに、スワールの起こらないようにワンピース形状で。思考錯誤の末マフラー径が決まった。レギュレーション上サイレンサーの装着義務があるため申し訳程度についている。かなりの爆音であるが試作型では車検をパスできた。

  

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